元々男子校だったから男子ばっかり、女子ちょっと。頭では理解していたけれども、いざ目の前にすると本当に制服がズボンばっかり。此処の学校の男子制服がかわいいと先日に話していたけれども、これだけの人数を目にすると切り返しの多い制服ゆえに少し目がチカチカする。かわいいけれども。

入学式に参加するために新入生である私とは早速体育館に向かう。途中月子先輩が体育館までの順路を間違えないようにと誘導しているところをちらりと見かけた。素通りするわけにも行かず挨拶に行くついでになんでこんなことしてるんですか?と問いかけると、「私生徒会のメンバーだから。」と相変わらずのまぶしい笑顔で答えてくれた。女子一人で心配になる、と後輩の私が言うのもおかしいけど。(哉太先輩と錫也先輩の気持ちが今なら身に沁みてわかる。)

つまんない入学式のおえらい先生の話を聞いているうちに自分の意思とは反して舟をこぎ始める。本当につまらない。面白くないから短くして欲しい。きっと昔はそう思っている側だったに違いないのに、と心の中で眠気と戦いながらぼやいていると月子先輩の声で「次は生徒会長から新入生への挨拶です。」と聞こえた。どうせ生徒会長の話もきっちりとしすぎてまったく面白みのない話で違いない。もう意識を手放してもいいんじゃないか。まるで誰かが囁くかのような誘惑に身を任せようと思っていた矢先、生徒会長はマイクを手に声を張った。その声の大きさは先ほどまでのおえらい先生の声が虫の声かと思わせるような大きさで、びっくりして目が急にさえた。内容は俺様すぎてはっきり言っていろいろ呆れた。(目を月子先輩に向けたら月子先輩も横に居た生徒会役員だろう先輩もため息を零していた。)
以上、という声が響いて生徒会長の挨拶はすぐに終わり、最後に名指しで生徒が呼び出されていた。早速何かやらかした、とは思えないけれど。

入学式の後がトイレに行ったのを待っていると再び月子先輩を見かけたので呼びかけると振り返った月子先輩の後ろにはさっきの生徒会長と、その生徒会長の挨拶でため息をついていた先輩が居らした。(あれ、これちゃんと敬語成り立ってるのかな・・・一応目上として判断はしているつもり)
ちゃん!」にこにことお日様みたいな笑顔の月子先輩を見て私もつられて笑うとそれを見ていた生徒会長がずい、と顔を近づけてきた。条件反射で後ろに下がると不満そうに「なんで逃げるんだよ。」と頬を膨らませていた。(ちかいで、す。)(お、照れた。)・・・遊ばれている。
月子先輩は生徒会長と私の間に少し距離を作って生徒会長を諌め、軽く私の紹介をすると、「俺はさっきも言ったが生徒会長の不知火一樹だ。」こっちが副会長の青空颯斗。生徒会長の言葉にあわせて副会長は私に会釈する。つられて私ももう一度名前を告げながら副会長に向かって頭を下げた。頭をあげて副会長を見ると青空という苗字にふさわしい、晴れた空に副会長の笑顔が輝いていた。きらきらしている。
副会長の笑顔に一瞬魅入っていると、生徒会長に「お前さっき寝るの必死に堪えてたな。」と頭をくしゃりと撫でられた。えらい、えらいと髪の毛をぐちゃぐちゃにされると副会長と月子先輩によって生徒会長の手は止まった。(このひと意外と見てるんだな・・・)と思ったら今失礼なこと考えたろ?デコピンを食らった。思ったけどこれでもし思ってなかったら冤罪じゃないか。まあ、思っていたけど。
そろそろ俺達撤収作業も終わったし一度生徒会室に戻るか、と生徒会長が月子先輩と副会長に言うと、私の頭に乗せていた手をそっと離し、




「また星詠み科の合同授業で会おうぜ、。」

と言って月子先輩と副会長を連れて校舎に向かっていた。それと入れ替わりにがトイレから帰ってきた。遅いと思ったら迷っていたらしい。体育館の中にトイレがあることに気づかず迷った挙句、結局体育館のトイレに案内してもらったようだ。
何はともあれ無事に合流したので、寮に帰ろうと私とは踵を体育館に向けた。
(あれ、どうして生徒会長は私が星詠み科って知ってたんだろ・・・)(全員の名簿覚えてるとかかな?女子だし嫌でも覚えてるかもだし。)