とうとう今年で私も高校生・・・最初の見誤りさえしなければ花のJKなんて呼ばれて男女共学でにぱあああああ!なーんてことになるはずだったのに。
現実はそうには行かなかった、今思うとなんでちゃんと調べておかなかったのか、と自分のアホさに嫌気がさす。
全寮制なのは別によかった。一緒に受験しようって決めていたも合格できたのもよかった。だけど、共学になったんじゃなかったんだっけ・・・?
女子が圧倒的に少ないだなんて聞いていない。的にはそれを知っていてもなおあたしは受験を決意していたんだと思っていたらしい。そんなわけがないのに。
新学期前、寮の今日から自分の部屋となる一室の玄関に荷物を運び込むと、ダンボールが鈍い音を立てて床に降り立つ。隣の部屋でも同様にダンボールと床が接触している音が聞こえて同時にの声がくぐもって聞こえる。何が起きたんだろうと思って玄関から外の廊下、開いたお隣の扉を覗くと、がダンボールに頭を突っ込んでいた。ああ、そういえばってドジっ子だったっけ、と心では冷静になりつつもをダンボールのビッグウェーブから救い出した。

「ありひゃとぅひゃん」「疲れたならちょっと休憩でもしようか。」私がそう言うと、は笑顔になってうん、と頷いた。

休憩しようとは言ったものの部屋はいまだにダンボールの城壁ができていてくつろげない。どうしたものかと思っていたら、が食堂でも散策しない?と言うのでそれに従った。
生徒が居ない食堂はすごくがらんとしていて空が見渡せるような大きな場所だった。閑散としていた食堂に笑い声が何処からか聞こえてきた。
その方向を向けば調理場から数人の生徒らしき人たちが出てきた。その人たち・・・きっと先輩だろう。全員こちらを向いて固まっていた。まさか春休みに生徒がいるなんて思ってもみなかったのでびっくりして居たら、「もしかして新入生の子かな?」とその先輩たちと思われるグループの唯一の女性が声をかけてきた。
横に居たがはい、とほわわんとした返事をすると、先輩はほっとしたような表情をみせた。なんで?・・・ちょっとまって。女子?あれ?もしかして・・・
「あの、先輩ですよね・・・?」「うん。2年になるよ。」「あ、いえ、そうではなくて・・・星月学園唯一の女子って。」「そうだね。」
先輩はあっさりと答えると、でももう大分慣れたかな。と一緒に居た男性の先輩たちと笑っていた。
現段階で唯一の女子生徒である先輩はきさくに話しかけてくれて、お互いの名前や何科であるかなど軽い自己紹介をしていた。(月子先輩と錫也先輩と哉太先輩って呼んでいいって月子先輩にいわれたので呼ばせてもらいます。)
すると何かに気づいたのか、自己紹介を交わしていたときにだんまりだった銀髪のちょっと怖めが第一印象の哉太先輩が私とをじっと見つめてこう言った。「お前ら二人して前髪ぱっつんだな。」
哉太先輩の言葉に一瞬哉太先輩以外のその場に居た私たち含むみんながぽかんとした。みんなが黙っている中で先輩は更にずい、と顔を近づけてうーん、と唸る。




「お前ら前髪ぱっつんコンビだな!!!!!」

決して悪気はなさそうなその笑顔に私は何も言えなかった。超イイコンビ名だと言わんばかりの先輩を見つめる。確かに二人とも前髪ぱっつんだけどさ。
(・・・ぱっつん)(こら、哉太!)(悪気はないんだよ、コイツには)(あ、はい・・・)