O M A K E

「夜盗には気をつけろよ。」
それがの背中に桓騎が言った言葉であった。


「はぁ…今日もお見合いさせられたけど興味ないっつーの。」
「…」
「なんであの人の顔が出てきたのさ。」

ああ、思い出しただけでむしゃくしゃする!

「…気晴らしに書簡でも読もう。」
「駄目だ、今日はもう寝よう。」

まったく集中出来ない…

「え…な、何!?蝋燭消えたんだけど!!」
「風なんて吹いてなかったの、に…っ」


「ったく、独り言の多い女だな。」
「む…ぐっ」
「おいおい、大人しくしてろよ?」

か…かん、き…

「おう。」 「(な、何がおう、よ!なんで抱きすくめられるの…!)」
「大声出すなよ、お嬢様?」
「ひっ…あ…」
「耳弱ェのかよ。」
「あ、ちょ…やめっ、て…」

「しっかり掴まってろよ。」
「へ?」
「ぎ、ぎゃあ!…んっ」
「うるせぇ、喚くな。」
「(私の部屋から飛び降りたんだもの当たり前でしょ!)」

「ぷはっ…ちょっと、どういうつもりよ!」
「言っただろ。夜盗には気をつけろって。」
「は…?」

「欲しいもんはどんな手を使っても手に入れる。」
「他の野郎なんかに取られてたまるかよ。」