ちいさまのためにあのこをさらう。あたしのなかでちいさまはぜったい。なのにあのこはいやがる。どうして?あんたにちいさまのなにがわかるの? ・・・いや、なにもわからないからけっこんをことわってるのか、たしかに。 だけど、かのじょはせいとうなおにのちをひくおに。しかもかずがすくないといわれているおんなのおに。 あたしがしっているかぎりでは、きょうとにいるせんひめと、あのこぐらいしかおんなのおにはしらない。 そしてあたしはただのにんげん。まずがんちゅうにいれてもれない。 ちいさまにわらってほしいだけ。ちいさまにしあわせになってほしいだけ。あたしはそれにすらやくにたてない。わらえない。 あたしはちいさまのおやくにたちたい。あのこがいいならあのこをつれてくるまでのはなし。 だからあのこをつれていくために、しんせんぐみのとんしょまできた。あたしはまどろっこしいことがきらいだから、もうせいせいどうどうとはいっていった。 ひらたいしにまけるほどあたしはよわくないもの。ちいさまといっしょにいままでたたかってきたんだから。 でもくみちょうかくはやっぱりてごわい。ちいさまがいつもくみちょうたちであそんでるけど、てごわい。ちょっときをぬくとけがをする。 とんしょのもんをくぐりぬけると、ひらたいしなんにんかにとまれといわれたけど、むしした。どうやらあたしがちいさまのなかまということはもうばれてるらしい。いつもとふくそうちがうんだけどなあ。 ふとまえをみると、みたことあるたいしがいた。えーっと、あのこにへいすけってよばれてたきがする。むこうはあたしにきづいてかたなをかまえた。べつにあんたにようはないよ、というと、ちづるにはゆびいっぽんふれさせねえよ、とまあいをつめられた。 だからあんたにはようはない。ま、そんなこといってもつうじないのはわかってる。けど、あたしはきょうたたかうきがあってきたわけじゃない。 そのいしをつたえると、いっしゅんかれはぽかんとしていたけど、やっぱりかたなにてをかけた。はなしあいでおわることならそうしたいんだけどなあ。けがしたくないし。 たしかかれはおにのまがいものだ。つねにほんきじゃないとあたしがあぶない。 いっしょくそくはつのふんいきになったところで、あたしのおめあてがせのたかいあかがみといっしょにきた。たしかはらだ?だっけ?しらぬいとたたかってたやつ。 「ねえ、あんた!ちづるだっけ?」そうあたしがこえをかけると、はらだがあのこをじぶんのうしろにかくした。べつにたたかいたいわけじゃない、そういっても、やっぱりきいてくれない。 あたしはただ、ちいさまのおやくにたちたいだけなの。 ぽろりとこぼしたことばに、いっしゅんまわりのくうきがかわった。たたかいはすきじゃない、あかいちもきらい。ひとのうめきごえもきらい。ひとがきずつくのがきらい。でも、それでもたたかうのはまぎれもないちいさまのため。 あたしはちいさまのおにもつだから、せめてちいさまがのぞむことをかなえてあげたいの。あたしにはあんたのかわりにはなれないから、あんたみたいにちいさまにひつようとされないから。 いっしょくそくはつのくうきはすこしかわって、きんぱくしているけど、かたなはすぐにはうごかないだろう。 するとあたしはうしろからひょい、ともちあげられた。へいすけとはらだ、そしてあのこのかおがこわばる。うしろをふりむくとちいさまがいた。かつ、あたしはもちあげられている。 またしてもいっしょくそくはつのくうきがながれる、がちいさまはきょうはあのこにようがあったわけではないらしい。じゃあだれなんだろう。ひじかた?だっけ、かな、それともおきた?かんがえているとちいさまは、おまえだ、とあたしをもちあげたまんまでこぴんをした。 おまえがひつようじゃなかったら、おれはおまえをそばになんかおいたりしない、とちいさまはためいきまじりにいった。 じゃましてわるかったな、とちいさまはあたしをもちあげたまんまきびすをかえして、ここをたちさろうとする。 もちろんしんせんぐみはそれをゆるさない、けど、きょうはたたかういしがないというと、はらだがわかってくれたみたいで、つぎはようしゃしねえ、とかいわれた。 かえりにちいさまは「おれがひつよういがいのやつをそばにおくやつにでもみえるのか」とちいさまにおこられた。だけど、ちいさまはやっぱりあのこがいいんでしょう、そういいたかった。 しょせんあたしはすてごまだろうな。わかっていたけど、やっぱり、ちいさまにしあわせをあたえられるあのこがどうしようもなくうらやましかった。 でも、すてごまであれ、ちいさまのおやくにたてるなら、べつにいまのままでもいいや、とおもえるようにもなったかもしれない。 鈍感少女とツン様少年 ことばにしなければなにもわからないのか、とちいさまにおこられた。なんで?なんで? 未開封のガムシロップ:;:;あけると甘い。 |