日に日にがやつれていくのは目に見えていた。元々抱え込みすぎてしまうアイツをどうしようにも何も出来ない自分が居た。(は)(アイツが好きだから。)手が出せない。助けたら、またふさぎこんでしまうだろう、なんとももろい。正直こんな弱い奴興味ねえ、と言いたいところだが惚れてしまったからにはそんなことも言えるはずもない。は藍染によって連れて来られた死神だ。弱い。けど、藍染のお気に入りである限りは守られている。それを気に入らない奴がよくをに殴りかかっているがそれをは何も言わず、抵抗もせずにただ殴られる。なんで抵抗しないのか。「みんな藍染様が大好きだから」俺にはわからねえ話だ。
が閉じこもって数日が過ぎた。四角い空間の隅に膝を抱え込みながら泣いているを、俺は見ていられなくなった。それもこれもアイツのせいだ。アイツがあの女と居るところを、は見ていられなくなった。そして藍染がそれに気づいた。藍染だけのモノでいなければならないにとって誰かを好きになるということは裏切りだ。藍染は怒っている。に。・・・ウルキオラに。女と、藍染と、ウルキオラと、大事なものに囲まれすぎたはそれに耐え切れなくなって、一人抱え込んで、ふさぎこんでしまった。気に入らなねえ。ウルキオラが。「おい、。」いきなり扉を開けて入って来た俺に、は肩をビク、と震わせ、俺を一度見て、ほっとしたのか、一息ついた。「・・・グリムジョー。」「やつれたな。」の頬にそっと触れ、少し撫でると、此処から一歩も出てないからね。と元気なく笑った。俺の知ってるではなかった。「・・・外、でねえか?」俺が言うと、はまた涙を流して、震えて、膝を抱えた。嗚咽と嗚咽の間にかすかに聞こえた、ごめんという言葉。何かがはじけた。自分の中で。無理矢理でも外に出そうと思って腕を引っ張った。は泣いて嫌がった。泣き叫ぶ声の中にひとつだけ。違う言葉が入ってた。拒絶ではない。助けを求める声。「ウルキオラ」それを聞いて、俺はの腕を掴むのをやめた。これ以上は出来ないと、思った。強く掴んだ腕は少し赤くなっていた。「・・・すまん。」それだけを残して俺はの部屋から去るつもりだった。扉に向かって足を進めると、後ろから引っ張られる感覚。後ろを向くとが俺の服を掴んでいた。(こういうことされると、な)は下を向いて、ごめんね、とだけ言った。俺はの頭をひと撫でして、の居る四角い空間から出た。(これ以上居たら)何をしてしまうかわからない。

24個シリンダー
(届かない僕の愛)(届かない君の愛)