DIARY//SS /1022/ 彼女は雨の中傘もささずに立ち尽くしていた。 原因は何かほとんどわかっていた。 彼女は雨が自分を濡らさなくなった事に気づいて振り返った。 今にも泣きそうな彼女の表情に何も言えなくなった。 ただ罪悪感のみが出てきた。(ごめんね、苦しい思いをさせて) だけどその表情すら愛しい。ずっとみてたから。 「あたしなんていらない子。」 泣きながら自分の存在意義を求める彼女を僕はただ抱きしめた。 (仕組んででも何をしてでも)(君が僕の元に帰ってくるのを夢見てた。) ごめんね、と腕をすり抜けた彼女のこころは僕のせいでずたずただった。 謝るべきなのは僕の方で、君は今も葛藤を続けているのだろう? (絶対可憐チルドレン/兵部京介) /1102/ 朝から桃太郎と京介はずっと二人でゲームしている。げっ歯類なんかに負けるはずがない、とか言い張ってたどっかの誰かさんはずっとイライラしていらっしゃいます。馬鹿だなあ。桃太郎のほうが器用というか・・・あ、コイツが不器用なだけか。(まあそういうところが可愛いと思う)(口が裂けても言わないけど)すると京介は桃太郎に「ちょっと待て」と言って、こっちを振り向いた。 「可愛いってやめてくれる?君みたいなちんちくりんに言われると腹が立つよ。」 ・・・何様ですかコイツは。どっから心読み取ったんだよって思ったらソファに座っていてブラブラとバタつかせていた足だと気づいた。コイツ最悪・・・ッ!(あ、しまった)読まれた!!!!! またゲームに戻っていた京介はこっちを思いっきり睨んできた。やばい、すっごいゲームのせいでイライラしてるのもあたしに降りかかってくるぞ・・・ ぴろりろりろりん。あたしの方を睨んでる間にゲームオーバーになった。 でもそんなこと気にせず、京介は「今日の夜覚悟しなよ。」とただそれだけを言ってまたゲームに向き直った。 やばい、今日は本当にやばいかもしれない。夜になるまでに逃げよう。 (その心もまた全部読まれているってことに気づきなよ)(まあ、そういうところも可愛いんだけど) (絶対可憐チルドレン/兵部京介) /1109/ 「えるー。」「なんですか?」 そのビーカーに入ったチョコレイトまわしてー 甘党二人が揃うとチョコレイトやマシュマロやら色は鮮やかだけど、見てるだけで甘い。 そしてそれを何も思わないのは多分当人たちだけだろう。 屋上で行われている「明日からみんながんばろうねのパーティー(あたしが勝手に命名)」でLとLの彼女さん?は甘そうなものばっかり食べている。 出逢って結構経った気がするけど、LとLの彼女さんの食事情だけは理解できない。 ビーカーに入っているもの チョコレイトの溶かしたやつ チョコレイトフォンデュっていう奴か、と一瞬納得しかけたけどはっとしたのは周りに甘そうなものしかなかったから。(あ、でも彼女さんのほうにはちゃんと普通の食べ物もある・・・) 甘いものにさらに甘いものをつける・・・Lは淡々と食べているけど彼女さんは一口食べてはあまーい!って言いながらでも幸せそうに食べてる。 なんていうか、それでもこの二人はやるときは本当にやる。 「真希ちゃんも食べる?」チョコレイトにマシュマロって最高の組み合わせなんだよ! どうでもいいからなんでお菓子から食べてるのか聞きたかった。(スパゲティさめるってば) この二人にはなんというか食事情はついていけないと本気で思った。 (DEATH NOTE/L) /1112/ 「おい。」「はい!」ちいさまなにようですか!? とつぜんちいさまはあたしにこえをかけてこられた(しあわせ!) 「蝦夷に行くぞ。」 はい!ちいさまとならどこまでも・・・え? 「え、えぞですか?」 ああ、とちいさまはみじかくこたえた。 えっと、えぞってこのしまじゃないよね?きょうとがあるしまでもないよね? さつまからどうやっていくんだろう? 「あ、あのちいさま。」 なんだ、とちいさまはめんどくさそうにこちらをむいた(あわわすみませんちいさま・・・) 「え、えぞってたしか・・・こっからかなりとおいですよね?」 なにしにあんなさむいところまでいくんですか?とあたしがきくとちいさまはちいさくほほえんで、 「あれから一年経っているんだ。明治に変わってな。」 ん?どういうこと?いちねんまえってなんかあったっけ? そういえばきょねんもあのこといっしょにえぞにいったきがする。 ああ、そうか。もういちねんもたつんだ。 あのさくらのたいぼくがちっていちねんたったひになる3かご。 あたしとちいさまはひとしれずえぞにいく。 いちねんまえのまっしろなゆきからあおいしんりょくにかわるころ、 はかなくもさくらのたいぼくはおれた。 ちいさまはやっぱりまだおしいとおもっているんだろうな。 なにもいわないけど、ちいさまはやっぱりさみしいんだろうな。 ずっとかくれてくらしていたちょうちょうにとってあのたいぼくはゆいつのみつをすえるところだったのだろうか。 ただあたしはまだちいさまのうしろすがたをおいかけているだけ。 やまみちを、ただちいさまのうしろすがたをおいかける。 (薄桜鬼/風間千景) /1118/ 目の前で渡くんが名護さんたちを襲った。どうして?誰に問いかけるわけでもなく、立ち尽くすあたしの目は二人の男をみつけた。あたしたちファンガイアの長・・・キングと、 渡くんはファンガイアと人間の共存を望んだ。もちろんそれはどちらとしても不都合らしく、あげく人間は今まで自分たちを助けてくれていたキバである渡くんを殺そうとした。なんなの。なんて人間は欲深いんだ。 あたしは渡くんの言う共存が無理だとは思えなかった。あたしも渡くんと同じ混血だから。 混血のあたしになんてどちらにも居場所がないけど、架け橋にだってなれることだってある。そう思っていた。 きっと渡くんに何かしたのはビショップだろう。あたしはあわててビショップのところに走った。 ビショップ、とあたしが小さな声で言うと彼はあたしの方を見た。そして口元だけ笑ってこういった。 「ほら、言ったでしょう?人間と我々が共存なんてできるわけがない、と。」 笑っていないビショップに寒気を感じたけど、そんな気微塵もないそぶりを見せた。 彼はあたしの腕を掴んで、あたしの目をしっかり見て言った。 「人間さえ居なくなればあなたは平和に暮らせるでしょう?」「我々ファンガイアは混血であろうとも歓迎しているのですから。」 いやだ、聞こえない。聞きたくなかった。わかっていたから。 精一杯彼の手を離そうともがいても彼の手はあたしの腕を掴んでいる。 なんで彼がこんなに必死なのかをあたしは知っていたから。自惚れじゃなくて、すべて知っていたから。 「あなたが平和に暮らす世界のために」 この言葉ひとつであたしはすべてを縛られてしまう。 掴まれた腕は今日も悲鳴をあげている。あたしが望んでいることはこんなことじゃないのに。 ビショップにはそんな声すら届かない。(ごめんなさい本当は共存を一番望んでいないのはあたしです) 縛られているこの感覚に酔いしれてしまったあたしこそ一番罪深い。 (仮面ライダーキバ/ビショップ) |