DIARY//SS いつぞやの本誌ネタバレ* 「こんにちはー。」 「あ、ちゃん!待ってたよー!」 「いきなり呼び出してごめんなさいね?」 「大丈夫!どうせ今日はオフだったの。」 「で、今日はいきなりどうした…」 「…あれ?」 … 「きょ、京介くん、だよね?」 「は、はい。」 「あ、あの、さん…」 「え?」 「あの、その…僕もよくわからなくて…」 「なんや突然朝起きたら京介がおっきなっとってん!」 「…兵部が帰ってくるのも近いのかもしれない。」 「っていうのは、皆本の意見なんだけどねー。」 「ちゃん?聞いてる?」 「え、あ、うん。」 「さん…あんまり見られると…は、恥ずかしいです…」 「ご、ごめん。」 「でも」 「私より大きくなっちゃってびっくり。」 「頭撫でるのも背伸びしなきゃいけないなんて。」 「(そんな幸せそうに笑いながらさー、)」 「(背伸びして頭撫でちゃってるちゃん…)」 「(…相変わらずの小動物系女子やな。)」 「あははっ 京介くんは大きくなっても京介くんだね。」 「やっぱり少佐とは違う。京介くんは京介くん。」 「、さ、ん。」 「うわっ、っと! 京介くんの方が背高くなっちゃったからいつもみたいにぎゅって出来ないねー。」 「よーし、よし!怖がることなんてないよ。」 「私は京介くんのこと、大好きだから。」 「少佐じゃない、君は君の意思で今此処に居るんだから。」 「ほらー、泣かない泣かない。」 「…泣いてないです。」 「ぎゅーっ」 「(…そろそろ、京介が、)」 「(…羨ましいわ。)」 「ほら、京介。そろそろ離れなさい。」 「(…皆本はん、顔が笑ってない。)」 「ちゃん!アタシもー!」 「あ、薫ちゃんずるい!私も!!」 「ウチもウチもー!!」 「わわっ」 当たり前だと思っていた、日常。 (絶対可憐チルドレン/ザ・チルドレン)※フェザー短編の続き的な 「ちゅあーん!こっちも酒ェー!!」 「はーい!ただいまー!!」 「ハハッ、相変わらずの人気…」 「おっさんウケよすぎるだろ。しかもドサクサに紛れてちゃん付けしてるおっさんがキモい。」 「まーまー。」 「おまたせー!」 「あれ?まだ呼ばれてるけど?」 「だって信殿と蒙恬ちゃんのところに全然来れないんだもん!」 「さっき王賁ちゃんのところには行ったんだけどねー。」 「それにしても貂殿のお酒人気だね〜」 「(お前目当てだよ!)」 「(なんていうか、相変わらずの疎さ…)」 「(ま、長い間女として扱われるような環境に居なかったからなんだろうけど。)」 「はい、お注ぎいたします。」 「お!」 「今日は信殿も宴の主役のお一人なんですから!三千人将おめでとうございます!!」 「っぷはー!今日の酒は格別うめえ!」 「貂殿って料理だけじゃなくてお酒も造っちゃうなんて…しかもただ造れるんじゃなくて、おいしいから皆さん笑顔にさせちゃって…すごいなあ!」 「(ハハッ…が注いだからって気付いてない。)」 「蒙恬ちゃんも!怪我治ってよかったねー」 「大怪我したって聞いてハラハラしたんだからね。」 「ごめんごめん、このとーりすっかり元気。」 「それにお父上の蒙武将軍も第一功なんでしょ?蒙家はますます安泰だねえ。」 「でもそれは君んトコのお父上が緒戦で流れを掴んでくれたからってのもあるんじゃない?」 「どうかなー?あ、そういえば父上の軍についてたんだっけ?」 「そーそー。」 「お疲れ様。父上が将軍として指揮を執っているのを始めて聞いたけど、殿と同じ風景が父上にも見えているのはなんとなくわかってたから問題ないと思ってたけどねー。」 「ハハッ、相変わらず王騎軍大好きだねー。」 「蒙恬ちゃんには言われたくないし!家族大好きな癖に!!」 「(話に入れねえ…そーいや、前にガキの頃から知り合いだとかなんとか言ってたな。)」 「〜!こっちにも酒くれェー!!」 「そいつらばっかりズリィーぞ!!」 「およよ、そろそろ行かなきゃ。」 「では!信殿!蒙恬ちゃん!」 「おう!」 「おー」 「また近いうちに話そうぜ!次は政と貂も含めて!」 「是非!」 「信さー、のこと好きでしょ?」 「ブッ…あ、あんだよいきなり!」 「いやー、思ってる以上にアイツ鈍くてさー、色恋沙汰に。」 「ずっと態度にして出してるんだけど、全く気付いてない。」 「この間弟に逢ったらまだ一方的に慕ってるのか、って馬鹿にされた。」 「…ッてことは蒙恬、お前も…!!」 「ハハッ、この話終わり。」 「おま、待てって!」 (キングダム/信と蒙恬) 「王賁ちゃん。」 うるさい。 「王賁ちゃん、」 うるさい。 「おうほん、ちゃん。」 もう、呼ばないでくれ。 鈴のように響き渡る彼女の声が痛い。 どうせ、俺を置いて去るのだ。 俺のことなどさっさと忘れてしまえ。 「どうしても、最後に王賁ちゃんに逢いたかったの。」 都合が、良すぎるだろう。 「やくそくまもれなくてごめんね。」 俺の知っている彼女からは想像も出来ないか細い声に思わず振り返る。 やっと見てくれたね、と悲しそうに笑う彼女を見て、 どうしても憎むことなど出来なかった。 「私だって、王賁ちゃんのお嫁さんになりたかったよ。」 (キングダム/王賁) 「はぁ?北三陸へ戻る?あんた何言ってんの?」 「あんたの都合にどれだけこっちが振り回されたと思っとるん?」 「太巻だの、GMTだの、琥珀だの、お座敷列車だの。」 「うちは結局あんたに磨いてもらえへんくて、光れへん原石やったん?」 「うちは水口さんがそこまで言うてくれるなら、っていうて関西から一人で来たのに。」 あーあ。 受話器越しに聞こえるノイズがかった声。 彼女は確かに自分が掘り当てた原石だった。 つい先日も自分が事務所を辞める際に彼女も辞めると言い出して軽く騒ぎになったばかりだっ た。 口癖はいつも「水口さんだから、今うちは此処に居る。」だった。 何を其処まで自分を気に入ってくれていたのかわからないが、いつも幸せそうに笑って、そう 言っていた。 「結局さあ、水口さんにはユイちゃんとあきちゃんしか見えへんかったんやろ?」 「もうさー、うちも京都帰ろうおもて。」 え、なんでそうなるの? 焦る雰囲気が受話器越しにわかったのかくすっと笑った彼女はこう続けた。 「慌てすぎ。」 「いや、だって水口さん居らんのに東京に居る必要ないやん?」 「アイドルやって水口さんに言われたから始めてみたけどやっぱりしっくり来ぉへんねん。」 「うちは水口さんが熱弁奮って説得してくれたんが嬉しくて、アイドル始めてみようおもてんで?」 じゃあね。 引きとめようとしたのにプツリと切れた通話は止められなかった。 無機質な音をたてる携帯電話を眺めるしかできない。 北へ行く自分と、西に帰る彼女。 誰よりも一番、彼女の笑顔に救われていたのは自分だったはずなのに。 さよならを告げる彼女はとても悲しそうだった。俺のせいで。 握り締めた携帯とひっつかんだ鞄を持って彼女の居るスタジオへと急いだ。 身体が勝手に動いているのに、それを止めようとは思わなかった。 彼女にもう会えないことの方が怖かった、 心の何処かで、俺について来て、一緒に北三陸に来てくれるんじゃないか。 そう思っていたのに。 (あまちゃん/水口琢磨)※書きかけ 「うおおおおごめんなさ…ってなんだ、冬馬くんか。」 「おい、なんだってなんだよ。」 あはは、ごめんね。と笑って私は手を再び手を動かし始めた。 先日開催されたIJでのライブ後に「事務所辞めた。」と言われた時は驚きしかなく、Jupiterを今まで支えていた私が彼らの居ない961プロでどうすれば良いのか。頭が真っ白になったのを今でもはっきりを覚えている。 目線が泳ぐ私を見て冬馬くんが「何か勘違いしてるかもしれねーけど、お前も含めて辞めたんだからな。」とそっと手を差し伸べてくれた。 「ちゃんはJupiterの育ての親だからね。」「そーそー。ちゃんが居ないと誰がこの三人をまとめるのさ。」北斗くんも翔太くんも、私を彼らの一員と認めてくれていた。 それが嬉しくて冬馬くんの手を掴んだまま泣いてしまったのは今思い出しただけでも恥ずかしい話なのだが。 あれから半月以上が経つ。新しい事務所も決まったものの、今の事務所ではライブハウスを押さえるのが限界だった。 それでも一年以上先まで埋まっているスケジュールの都合をつけてもらい、なんとか移籍後お披露目ライブが出来るようになったのはJupiterの人気のおかげだろう。 年末に決まって年明けにライブなんて強行をよく会場側が許したな、と当日になった今でも思う。 ついさっきライブ会場に着いたJupiterと少数スタッフはそれぞれ準備をしはじめる。 先ほど冬馬くんにぶつかった時はスケジュールのチェックを再度行っていたが、それも終わったので次の作業に入る。 透明のプラスチックボックスに詰め込まれた衣装や小道具、その横に並ぶ音響機材。どれも961プロに居た頃の高級品とは違うけれども、これからの彼らには必要不可欠なモノたちだ。 衣装箱を持ち上げて会場に運ぼうとすると横から北斗くんにひょい、と奪われ、「女の子に重たいものは持たせられないよ。」と言い残して裏口へと消えてしまった。 「…じゃあ、私は何をすればいいのよ。」ぽつりと呟いて背後から「ちゃんは今日はこっちー。」と翔太くんに腕を引かれて会場内に連れて行かれた。 リハ前のセットが着々と組み立てられていくステージに三人が立ち、私は客席の真ん中に立たされた。 「まず、ちゃん!今までずっと一緒に居てくれてありがとう!」 「ちゃんが961プロから抜ける際も着いてきてくれたおかげで今日もこうやってライブが出来る。本当に感謝しているよ。」 「今日は俺達の再出発…にはこれからも迷惑ばっかりかけるかもしれねぇけど、改めてよろしくな。」 客電が落ちてはじまったのはリハを兼ねて歌う「恋をはじめよう」だった。しかもダンス付きで。 ライブ前に疲れちゃうでしょって強がりを呟くものの、やっぱり嬉しくて。曲が終わってもボロボロ涙を流す私と私をステージから降りて慰めてくれる冬馬くんを見てスタッフさんも拍手を添えてくれた。 (THE IDOLMASTER 2/ジュピター) |