きんぐだむ//つめこみ02

「お頭〜!起きた?起きた?」
「…あァ。」
「おはよー!おはよー!」
「…おう、」

「あー、そんな頭掻いたら髪の毛絡まっちゃうよ?」
「んー…」
「ねぇ、お頭!髪の毛結っていいー?」
「いいぞ。」
「わーい!」

「うへへ〜お頭の髪の毛硬い〜!」
「…いてェ。」
「目覚めるでしょー?」
「…まァな。」

「うーん…」
「うーん…」
「下のほうの髪の毛うまくまとまらない〜」
「…そういうのはほっとけ。」
「うん…」

「あ、でもね、お頭の後れ毛って色っぽいらしいよ?」
「黒桜姉さんが言ってたー。」
「それでね!」
「色っぽいって言うのをオギコの民族では、」
「せくしーって言うんだってー。」
「お頭せくしーなんだねー。」
「…へぇ。」

「はぁい!でーきたっ!」
「ありがとな。」
「わーい!お頭のありがとな、いただきましたぁ!」
「あと頭撫でてもらうのも!うへへ〜」

「行くぞ。」
「はぁい!」

「…お頭。」
「なんだよ。」
「なんでいつもアイツはお頭の横に居るんですか?」
「俺がそう言いつけてんだよ。」
「アイツ、阿呆すぎて見てて飽きねぇだろ。」
「…そうですか。」

(桓騎)


「あ、信殿。おめでとうございます!」
「おー、じゃねーか。」
「はい!今後は隊の一員としても宜しくお願いいたします!」

「…は?」

「あれ…?大王様から伺ってませんか?」
「三千人将に昇格した飛信隊の炊事係として派遣されることになりまして…」
「貂殿のご飯がとてもおいしいので私なんかに務まるのか心配ですが。」
「でも貂殿の本業は軍師様なので、私がお手伝いすることになりました。」

「ま、まじかよ!?」
「まじです。」

「え、じゃあお前蒙恬はどうするんだよ!?」

「…」
「(お、紅くなった)」

「え、あ、いや、え!?な、なんで蒙恬様が出てくるんですか…!?」
「だってお前蒙恬の…ンフガァ!」
「うわああああああ信殿何言ってるんですか!!!」

「あれ、信と。何して…」
「ぷはっ!違うぞ蒙恬!これは何でも無いからな…!」
「ほら、!早く離れろ!!」

「も、もうてんさま…」
「う、うぅ…」
「あのな!これは!…その、」

「いいよ、どうせ信が余計な事言ったんでしょ?」
「余計じゃねーよ!が飛信隊に入ることになったっつーからお前らの心配してやったんだよ!」
「いや、だから!信殿…!!」

「別にいいんじゃない?逢う時間は減るけど飛信隊なら安心だし。」

「あ、あぅ…蒙恬さま…」
「でも今のはちょーっと妬けたから、もらって行くよー。」
「え、あ、信殿!また近いうちに…!」

「も、もうてんさま!待ってください〜…」


「…俺が心配するまでもねぇか。」

(蒙恬)


「おかえりなさい!羌カイ殿!」
「…ただいま。」

「おう、聞いてくれよ!」
「羌カイがよ、俺の子を産む…あだっ」
「え、し、信殿!?羌カイ殿!信殿が…!」
「放っておけ、あんな奴。」

「…?」
「いや、…これには深いわけがな…」
「貂殿…そ、そうですか。」
「まあ…飛信隊特有の問題と言うか…女性が居るとどうしても…」
「渕さんまで…」

「カカカッ!此処には蒙恬の嫁も居るしな!」


「え!?…そ、それって」
「…。」
「え、殿!?」

「…し、しん殿…勘弁してください…」


「よ、嫁じゃないです…あぅ…」
「似たようなもんじゃねえか。」
「ちが、ちがっ…」
「ごまかすなよー、聞いたぜ?」

「蒙恬の見舞いに毎日行ってたんだろ?」


「超ノロケてきやがってうぜーし。」
「嫁じゃねーならとっとと嫁になって来いよ。」
「カカカッ」

「…おい、信。」
「あ?」
が羞恥のあまり、放心状態になったぞ。」

(蒙恬)


※現パロ

昼休み。ご飯を食べて一息をついていると蒙毅ちゃんに連れられて二年生の教室へと向かった。
蒙毅ちゃんの隣には安定の貂ちゃんも居て、あれ?私必要なくね?むしろお邪魔虫じゃね?と思いながらも前を歩く二人について行く。
お目当ての教室にたどり着くと蒙毅ちゃんは先輩を数人呼び出していた。
こういうときは後輩が行くべきじゃないの?と思いながらも私は二年の教室にドカドカと入る勇気は持ち合わせていない。

廊下に出てきた先輩は三人。皆さんとてもイケメン揃いで既に私の心臓が痛い。
それでなくても蒙毅ちゃんぐらいしかまともに話せる男子が居ないのに、三人…しかもイケメンとなるともう太刀打ちできません。
三人の中で色素の薄い先輩と話していた蒙毅ちゃんが私の方を見た。
「紹介するよ、。」「僕の兄の…」
「蒙恬って言うんだ。」
その先輩は人懐こい笑みを浮かべて自己紹介をしてくれた。続けて「んで、こっちの釣り目が信で、反対の釣り目が王賁。」と両隣に居た先輩も紹介してくれた。
正直残り二人の先輩は怖くて顔が見れません。

「は、はい…えっと、です。」「蒙毅ちゃんと仲良くしていただいてます。」
一礼すると頭の上で蒙恬先輩が噴き出したのがわかる。
「え、蒙毅…チャン付けされてるの?」「放って置いてください、兄上。」
けらけらと蒙毅ちゃんを笑う蒙恬先輩と信先輩にはあ、とため息をつく蒙毅ちゃんを一瞥してから蒙恬先輩はこちらを見た。
「頭の堅い弟だけど仲良くしてくれてるみたいでありがとう。」「河了貂以外に友達が出来ないんじゃないかと心配してたんだよねー。」
ぽんぽん、と私の頭を撫でる蒙恬先輩は「ちゃんは外部生だし、何かあったら頼ってくれていいから。」と綺麗に整った眉を下げて柔らかな笑みを浮かべていた。

「直にチャイムが鳴るぞ。」と王賁先輩が言うとホントだー、とみんなが口々に言う。
一礼をして二年の教室を離れると私たちが階段を降りるまで蒙恬先輩は手を振り続けてくれていた。
さっきより随分と速い心臓の音にぎゅ、と制服の胸元を握る。
「どうしたー?、顔が赤いぞ?」私より背が低い貂ちゃんが顔を覗き込む。なんでもないよ、と言ったものの私もどうしてそうなったのかわからない。
午後の授業はボーッと昼休みの出来事を思い返しているだけであった。

(蒙恬)


※現パロ(上の続き的な)

「失礼しまーす…せんぱ…」

「ア゛ァ?」
「す、すす、すみません…」
「あー…何か用あんだろ?」

「え、えっと…蒙恬先輩を探してて…」
「…赤ヒラか。」
「あか、ひら?」

「…っつーことはオメェがアイツのオンナか?」

「…は?」
「オメェを強請ればアイツの弱みになるっつーワケかァ?」
「え、あ、ぁ…(か、顔近い…いけめんこわい…)」


「何してるんだ、項翼。」


「…麗。」
「(…おんなのひとかと思った。)」
「その子は?」

「赤ヒラのオンナ。」
「あいつの?」
「あ、あの…」

「ア゛ァ?」
「項翼。」
「…チッ」

「ひ…!あ、あの、蒙恬先輩が教室に忘れ物をされたようだったので…」
「で、弓道場まで来た…と?」
「は、はい…蒙毅ちゃ…いや先輩の弟に連絡されたみたいなんですけど既に帰っちゃったので…代理で…」
「なるほどな…しかし赤ヒ…蒙恬はまだ来て無いぞ。」
「そうですか…こ、これ蒙恬先輩に渡してもらってもいいですか?」
「それは構わないが…」

「(ぎょ…凝視されてる、いけめんに…)」
「あ、あの…」

「あぁ、すまない。」
「俺は白麗、こっちは項翼だ。クラスは蒙恬達の隣にあたる。」
「えっと、です。クラスは蒙恬先輩の弟と同じです。」
か。よろしくな。」

「こ、こちらこそ…」
「(項翼先輩の視線が怖すぎる、いけめんこわい)」

「テメェ、麗に色目使ってんじゃねェよ!チビ!」
「次、麗の前に現れたらぶっ殺すからな!」

「ひ…!し、失礼しました!忘れ物届けておいてくださいお願いしますうぅ…」


「何もあそこまで威嚇することないんじゃないのか?」
「…ケッ(あの女を見る麗の目は一番危ねェ目だったっつーの、無自覚め。)」

(白麗と項翼)